福岡県において、小児歯科医院で局所麻酔を使用し、虫歯を治療した幼児が低酸素脳症に陥った例があります。
その幼児は、治療後、唇が紫色になり、目の焦点が合わない状態になったという。
幼児に、症状が出ているにも関わらず、小児歯科の院長は「よくあることだ」と説明し医療措置をとらなかった。
その幼児の症状は、悪化の一途をたどった・・・。
この時、どんな対応が適切だったのか?
副作用に対しての措置はなかったのか?
気になるところです。
以下に続きます。
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局所麻酔で副作用が出た時の対応
上記の例では、「唇が紫色になり、目の焦点が合わない状態」が生じました。
これに対して医療職として一番最初に行うべき対応は・・・。
「※バイタル測定の実施」
【※バイタル】
患者の状態を把握するための重要な指標。体温、脈拍、呼吸、意識、血圧を指す。
唇が紫という症状を、看護師の視点では、以下のようになります。
「 唇の色が紫色ということは、血行が悪かったり酸素不足やストレス、乾燥、睡眠不足などということが考えられます」
酸素不足なのかどうかは、バイタル測定で酸素濃度を調べればハッキリします。
医療職として第一にバイタル測定をするべきです。
低酸素脳症と分かった時の対応
低酸索脳症とは、呼吸ができない状態が数分以上続き、脳に酸素を供給することができなくなり脳に障害を残す状態です。
低酸素脳症に陥った場合の対応の1つとして、以下があります。
喉に皮膚から穴をあけて緊急的に空気の通 り道をつくる事があります。
局所麻酔中毒の治療について
麻酔中毒とは麻酔薬によって起こされる病態のことといわれています。
公益社団法人 日本麻酔科学会の「局所麻酔薬中毒への対応プラクティカルガイド」に、麻酔中毒の対応の1つとして以下が掲載されています。
A.局所麻酔薬中毒が疑われた場合、まず下記を実施
1)局所麻酔薬の投与を中止
2)応援の要請
3)血圧・心電図・パルスオキシメータの装着
4)静脈ラインの確保
5)気道確保および 100%酸素投与、必要に応じて気管挿管、人工呼吸
6)痙攣の治療(ベンゾジアゼピンが推奨。血圧・心拍が不安定な場合はプロポフォールの
使用は不可)
7)(余裕があれば)血中濃度測定のための採血
必要に応じてという部分もありますが、何かしら、中毒症状が疑われたら、各措置があるのです。
小児歯科の院長が何も措置を行わなかったのは謎です・・・。
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局所麻酔の副作用(中毒)
局所麻酔剤のプロカイン塩酸塩注では以下の副作用が記載されています。
【重大な副作用】
・ショック(初期症状:血圧低下、顔面蒼白、脈拍の異常、呼吸抑制等)
・振戦、痙攣等の中毒症状(処置方法:ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)の投与等)【その他の副作用】
・眠気、不安、興奮、霧視、めまい、悪心・嘔吐
・血液 メトヘモグロビン血症
・過敏症 じん麻疹、浮腫等
多くの副作用があります。
もし、これらの副作用が起こったら、一番は治療を受けた医療機関へ行くのがいいですが、冒頭の例のように、先生が何も医療措置を行わない場合は、早めに、他の医療機関へ行き、診てもらいましょう。
躊躇していると、悪化し、取り返しのつかない事態になるかもしれません。
決断は早めに行うのがいいと思います。
「局所麻酔で副作用が出た時の対応」まとめ
歯科で麻酔をすることは、よくあることだと思います。
しかし、幼児に麻酔を使うのは、意見が分かれます。
2歳で虫歯治療しちゃ駄目でしょう。進行止め塗るとか他に対処法はあったはず。麻酔なんてもってのほか。
幼児の虫歯治療には、麻酔を使わない、他の治療法もあるようです。
冒頭であげた例の幼児は残念な結果になってしまったのは悲しいですね。
今後、こういったことがないよう祈ります。
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